空想科学読み物
「なぞの鋼鉄巨人」
 時は西暦二○一○年。東京では二一世紀の科学技術の成果を一堂に集めた『宇宙科学博覧会』が、大々的に開催される事となりました。東都日報の記者、われらが早村慎平も、その開会式のようすを取材するために、ここ『東京コスモ・センター』へとやって来ていました。
宇宙科学博覧会
▲早村慎平は東都日報の腕利きルポライターだ。

 さて、開会の式典であいさつのマイクをとったのは、世界的に有名な天才少女科学者、ミス・メリーです。
「このような素晴らしい大博覧会にゲストとしてお招きいただき、たいへんうれしく思います。ここに紹介される数々の科学技術の進歩は、きっと私たち人類の平和としあわせに貢献することでしょう。」
ミス・メリー  ミス・メリーの可憐な美しさに、つめかけた大観衆からはやんやの喝采です。
「すごい人気だなあ‥‥。しかし、なんて可愛らしい博士なんだろう!それにあの若さで電子工学の第一人者だっていうんだから、恐れ入ったね、まったく。」
 日ごろはニヒルな早村も、すっかり彼女の魅力にまいってしまった様子でした。
 と、そのときです。コスモ・センターに、地響きとともに、わきあがるような不吉な轟音が鳴り渡りました・・・。

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